「介護の経験を活かして、別の働き方ができないかな」と考えたことはありませんか。
実は、介護施設には「営業職」というポジションがあり、もともと介護職だった方が多く活躍しています。
私もケアマネとして働いていたとき、施設の営業担当の方と何度もやり取りをする中で、現場経験がそのまま強みになっている姿を目の当たりにしてきました。
この記事では、以下のことがわかります。
この記事でわかること
- 介護施設の営業職がどんな場所で、どんな仕事をしているのか
- 1日のスケジュールや年収の目安
- やりがい・大変なところのリアルな実態
- 介護職からの転職が有利といわれる理由
それでは、詳しく見ていきましょう。
目次
介護施設の営業職とは?働く場所と役割

まずは、介護施設の営業職がどのような職種なのか、全体像をつかんでおきましょう。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- 営業職が配置されている施設の種類
- 営業職の主な役割と位置づけ
それでは、順番に見ていきましょう。
営業職が配置されている施設の種類
介護施設の営業職は、すべての施設にいるわけではありません。
主に配置されているのは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの民間施設です。
- 有料老人ホーム(介護付き・住宅型)
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- グループホーム(一部の大手法人)
- 福祉用具貸与・販売事業所
一方で、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)には、営業職はほとんど配置されていません。
これらの施設は入居待ちの方が多く、営業活動をしなくても利用者が集まる傾向にあるためです。
有料老人ホームなどは株式会社が運営していることが多く、稼働率(入居率)が施設経営に直結します。
高齢化で施設数が増えている今、地域で選ばれる施設になるには営業職の力が欠かせません。
営業職の主な役割と位置づけ
介護施設の営業職は、「施設と入居希望者をつなぐ架け橋」のような存在です。
単にモノを売る営業とはちがい、困っている方の相談に乗りながら、最適な住まいを提案するのが特徴です。
- 入居を検討しているご家族への相談対応
- ケアマネジャーや病院との関係づくり
- 施設の魅力を伝える広報・集客活動
- 契約から入居後のフォローまでの一連の流れ
施設によっては「入居相談員」「渉外担当」「生活相談員(兼務)」など、名称がちがうこともあります。求人票を見るときには、業務内容をしっかり確認しておくと安心です。
介護施設の営業職の仕事内容を6つに分けて解説

ここからは、介護施設の営業職がどのような仕事をしているのか、具体的に見ていきます。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- 顧客との介護相談
- 施設の見学対応
- 集客活動(WEB・チラシ・イベント)
- ケアマネ・病院への営業活動
- 入居契約の手続き
- 入居後のフォロー
それでは、順番に見ていきましょう。
顧客との介護相談
営業職の入口となるのが、入居を検討している方やご家族との介護相談です。
電話やメールでの問い合わせに対応し、施設の見学へとつなげていきます。
- 施設のサービス内容・料金・設備の説明
- 入居を検討している方の要介護度・ADL(日常生活動作)・困りごとのヒアリング
- ケアマネジャーや病院のソーシャルワーカー(MSW)からの相談対応
- 自施設では対応できない場合、適切なサービスへのご案内
私が施設や在宅のケアマネとして働いていた時も、売り込みだけでなく、相手の立場に立った対応ができる営業さんはとても頼りにされてました。
施設の見学対応
興味を持った方を施設に招き、実際に見学してもらうのも大切な仕事です。
見学対応では、「ここで暮らすイメージ」を持ってもらうことがポイントになります。
- 車での送迎(ご高齢者の移動をサポート)
- 施設内の居室・共用部・浴室などの案内
- 施設長との面談の場を設ける
- 食事の試食や、レクリエーションの様子を見てもらう
見学は「百聞は一見にしかず」で、パンフレットだけでは伝わらない施設の雰囲気を感じてもらえる大事な機会です。
集客活動(WEB・チラシ・イベント)
施設を知ってもらい、見学や相談につなげるための集客活動も営業職の重要な仕事です。
さまざまな媒体を使って、地域の方に施設の存在を届けます。
- ホームページの更新・WEB広告の運用
- チラシ・パンフレット・DMの作成と配布
- 地域住民向けの介護セミナーや施設見学会の企画
- 地域のイベントへの参加・ブース出展
大手の運営会社では、集客担当とお客様担当で役割分担をしているケースもあります。その場合は、チーム内で連携しながら戦略を立てていくことになります。
ケアマネ・病院への営業活動
介護施設の営業で特に重要なのが、外部の関係機関への営業(渉外活動)です。
入居者の多くは、ケアマネジャーや病院からの紹介で来られます。
- 居宅介護支援事業所のケアマネジャーへの訪問
- 病院の地域連携室(MSW)への定期的な挨拶回り
- 地域包括支援センターとの情報交換
- 施設の空き情報や新しいサービスの案内
私がケアマネをしていたとき、定期的に顔を出してくれる営業さんの施設は自然と印象に残りましたし、「この方にはあの施設が合いそうだな」と思い浮かべやすかったです。
地道な関係づくりが紹介につながる仕事といえます。
入居契約の手続き
入居が決まったら、契約手続きを進めるのも営業職の役割です。
書類の準備から当日の説明まで、丁寧に対応する必要があります。
- 入居審査や体験入居の調整
- 介護保険証・診療情報提供書・健康診断書などの必要書類の案内
- 契約書・重要事項説明書の内容説明
- 利用料・支払い方法の説明
ご家族にとっては大きな決断ですので、わかりやすく丁寧な説明が求められます。
入居後のフォロー
入居当日や翌日のフォローも、営業職の大切な仕事です。
慣れない環境に不安を感じているご入居者を、スタッフみんなでサポートします。
- 入居当日の出迎え・荷物搬入のサポート
- 施設内の案内やスタッフの紹介
- 翌日の様子確認(一晩過ごしてみた感想のヒアリング)
- 介護スタッフへの情報共有とケアプランへの引き継ぎ
「営業は契約して終わり」ではなく、入居後も安心して暮らしていただくところまでが仕事です。この姿勢があるからこそ、ご家族やケアマネからの信頼が積み重なっていきます。
介護営業職の1日のスケジュール例

介護施設の営業職がどんな1日を過ごしているのか、モデルケースをご紹介します。
施設や会社によってちがいはありますが、大まかなイメージをつかんでおくと安心です。
| 時間帯 | 業務内容 |
|---|---|
| 9:00 | 出社・メール確認・1日のスケジュール確認 |
| 9:30 | 朝礼・チームミーティング(空室状況・見学予定の共有) |
| 10:00 | 外回り(居宅介護支援事業所・病院への訪問営業) |
| 12:00 | 昼休憩 |
| 13:00 | 施設見学の対応(ご家族への案内・説明) |
| 15:00 | 電話対応・問い合わせへの折り返し |
| 16:00 | 書類作成・チラシやパンフレットの準備 |
| 17:00 | 日報作成・翌日の準備 |
| 18:00 | 退社 |
介護職のように夜勤がなく、基本的に日勤のみで働けるのは大きなメリットではないでしょうか。
介護の営業職で求められるスキル・資格

介護施設の営業職は、一般的な営業とは少しちがったスキルが求められます。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- 介護保険制度や高齢者への理解
- 傾聴力・共感力
- 車の運転スキル
- あると有利な資格(介護福祉士・ケアマネなど)
それでは、順番に見ていきましょう。
介護保険制度や高齢者への理解
介護施設の営業職がお客様に提案するのは、介護保険で利用できるサービスです。
そのため、制度の基本的な知識は欠かせません。
- 要介護認定の仕組みや区分ごとのサービス内容
- 施設ごとの介護保険の適用範囲
- 高齢者に多い疾患(認知症・脳卒中・骨折など)の基礎知識
- 介護保険の自己負担割合や費用の考え方
制度は定期的に改正されるため、つねに最新情報をキャッチアップする姿勢も大切です。
傾聴力・共感力
介護施設への入居は、ご本人にとってもご家族にとっても大きな決断です。
だからこそ、不安や迷いに寄り添える力がとても重要になります。
- ご高齢者やご家族の話をじっくり聞く姿勢
- 認知症のある方への丁寧な対応
- 「売る」のではなく、「一緒に考える」というスタンス
一般的な営業のように押し売りするのではなく、相手の立場に立って最善の選択をサポートする姿勢が信頼につながります。
車の運転スキル
営業職は、外回りや見学者の送迎で車を使う場面が多い仕事です。
必須ではありませんが、普通自動車免許はあったほうが良いと考えておきましょう。
- ケアマネや病院への訪問時の移動
- 見学希望者(ご高齢者)の車での送迎
- 車いすの方の送迎では大きめの車を運転する場合もある
運転に不安がある方は、事前に施設周辺の道を覚えたり、練習しておくと安心です。
あると有利な資格(介護福祉士・ケアマネなど)
介護施設の営業職に必須の資格はありませんが、持っていると転職で有利になる資格はあります。
介護の知識があることで、お客様への説明に説得力が増すためです。
- 介護福祉士 — 介護の実務経験と専門知識の証明になる
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)— 制度やサービス全体を見渡せる力がある
- 社会福祉士 — 相談援助の専門性をアピールできる
- 福祉住環境コーディネーター — 住環境の提案に活かせる
もちろん資格がなくても未経験から挑戦できる求人は多くあります。ただ、介護の資格や経験があると、即戦力として評価されやすいのは間違いありません。
介護営業職の年収・給与の目安

介護施設の営業職の年収は、施設の規模や地域、経験によって幅がありますが、一般的には年収350万〜450万円程度が中心帯と言われています。
| 条件 | 年収の目安 |
|---|---|
| 未経験・入社1〜2年目 | 300万〜350万円程度 |
| 経験者・3年目以降 | 350万〜450万円程度 |
| 管理職・マネージャークラス | 450万〜600万円程度 |
大手の運営会社ではインセンティブ(成果報酬)を設けているところもあり、入居獲得の件数に応じて年収が上がるケースもあります。
また、生活相談員を兼務する場合は資格手当が加算される施設もあります。
介護職の平均年収と比べると、夜勤手当がない分やや下がるように感じるかもしれません。
しかし、働き方が日勤のみ・土日休みのケースが多いことを考えると、働き方のバランスとしてはプラスに感じる方も多いのではないでしょうか。
※情報は記事執筆時点のものです。最新の給与相場は求人サイトなどでご確認ください。
介護営業職のやりがいと大変なところ

どんな仕事にも、やりがいと大変さの両面があります。介護施設の営業職も例外ではありません。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- やりがいを感じる場面
- きついと感じる場面
それでは、順番に見ていきましょう。
やりがいを感じる場面
介護の営業職は、一般的な営業とちがい、人の暮らしそのものに関わる仕事です。
だからこそ、感じられるやりがいも大きいものがあります。
- ご家族から「あなたに相談してよかった」と直接感謝される
- 不安を抱えていた方が、入居後に安心して暮らしている姿を見られる
- ケアマネや病院のスタッフと信頼関係を築ける
- 地域の介護ネットワークの一員として社会貢献を実感できる
私がケアマネとして施設の営業さんとやり取りしていたとき、ご家族から「あの営業さんが丁寧に説明してくれたおかげで、安心して母をお願いできました」と聞いたことがあります。人の人生に寄り添える仕事だと感じました。
きついと感じる場面
一方で、決して楽なことばかりではありません。
事前に大変な面も知っておくことで、入社後のギャップを防ぐことができます。
- 稼働率(入居率)の目標があり、数字へのプレッシャーがある
- ケアマネや病院との関係づくりには時間と根気が必要
- 介護保険制度の改正が頻繁にあり、つねに学び続ける必要がある
- 入退院や体調変化など、突発的な対応を求められることがある
とくに稼働率の維持は施設経営に直結するため、プレッシャーを感じる方もいるかもしれません。
ただ、介護職のように身体的な負担が大きい仕事ではないので、「体力的にしんどい」という理由で転職を考えている方には新しい選択肢になり得ます。
自分のキャリアをじっくり考えたい方は、コーチングを活用するのもひとつの方法です。
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介護職から営業職への転職が有利な3つの理由

介護施設の営業職は、未経験からでも挑戦できる仕事です。中でも、介護職の経験がある方は特に有利だと言われています。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- 介護の知識と現場経験がそのまま武器になる
- 利用者・家族の気持ちに寄り添える
- 施設内の連携がスムーズにできる
それでは、順番に見ていきましょう。
介護の知識と現場経験がそのまま武器になる
介護職として働いてきた経験は、営業職においても大きな強みになります。
入居を検討している方の質問に、実体験をもとに答えられるのは現場経験者ならではです。
- 「夜間の見守りはどうなっていますか?」という質問に、具体的なケアの流れで答えられる
- 要介護度ごとの生活の変化を、リアルに説明できる
- 認知症ケアや看取りについて、経験にもとづいた話ができる
お客様にとって、パンフレットの情報だけでなく「実際の現場を知っている人からの説明」は何よりも安心材料になります。
利用者・家族の気持ちに寄り添える
介護の現場で日々ご利用者と向き合ってきた方は、ご家族の不安や葛藤にも自然と寄り添える力が備わっています。
これは営業として、大きなアドバンテージです。
- 「本人を施設に入れるのは申し訳ない」というご家族の気持ちを理解できる
- 認知症の方の行動や言動に戸惑っているご家族を安心させられる
- 入居後の生活を具体的にイメージできるよう伝えられる
ご家族の多くは、大切な人を施設に預けることに対して罪悪感を抱えています。
そんなとき、「大丈夫ですよ、一緒に考えましょう」と自然に声をかけられるのは、現場を経験してきた方だからこそです。
施設内の連携がスムーズにできる
営業職は、施設の介護スタッフや看護師、ケアマネジャーなど多職種と連携する場面が多い仕事です。
介護職経験者は、現場のことを理解しているため連携がスムーズに進みます。
- 入居者の状態を介護スタッフに的確に引き継げる
- 現場の忙しさや大変さがわかるから、無理のない依頼ができる
- 介護用語や専門的な話が通じるので、やり取りにストレスがない
営業と現場の連携がうまくいっている施設は、入居者の満足度も高くなります。
現場経験が「チームの潤滑油」になるのは、介護職出身者ならではの強みです。
迷っているなら、まず情報を集めることから始めてみて

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
「介護の仕事は続けたいけど、体力的にきつくなってきた」「もっとちがう形で介護に関わりたい」——そんなふうに感じている方にとって、介護施設の営業職は、これまでの経験をそのまま活かせる選択肢のひとつです。
この記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。
この記事のまとめ
- 介護施設の営業職は、施設と入居希望者をつなぐ「相談のプロ」
- 仕事内容は相談対応・見学案内・集客・外部営業・契約・フォローと幅広い
- 介護職の現場経験は、営業で大きな武器になる
- 身体介護がなく日勤中心で、働き方を見直したい方にもおすすめ
「すぐに転職するかどうかわからない」という段階でも大丈夫です。
まずは自分のキャリアについて、プロに相談してみるところから始めてみませんか。
\迷ったら気軽に相談!/
