介護施設には、営業職が配置されている施設があります。
施設に入居していただくために、施設の魅力をアピールし入居に結びつけるのが主な役割です。
介護営業職は、もともとは介護職として勤務していた方も多く活躍しています。コミュニケーションスキルが高く、お客様の前でお話しするのが得意な方は、これまでの介護の経験を活かして転職するには最適な職場だといえます。
そこで今回の記事では、介護施設の営業職の仕事内容について解説します。介護職の方で、これからのキャリアについて悩んでいる方は参考にしてください。
介護施設の営業職が働く場所
介護施設の営業職が配置されているのは、主に有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの民間施設です。中でも、高額な価格設定の施設には営業職が配置されているのが一般的です。
一方、特別養護老人ホームや老人保健施設などの民間施設には営業職はあまり配置されていません。逆に多くの方が入居を希望するため、入居待ち状態だとよく聞きます。
有料老人ホームなどは、株式会社が多いので施設を経営していく上で稼働率が重要です。高齢化により、介護施設の数がますます増えていく中、地域の高齢者から選ばれる施設にならなければ施設運営は難しいものとなっていくでしょう。そのため、お客様を獲得するための営業職は介護施設にとって重要な役割を担います。
介護施設の営業職の仕事内容とは
介護施設の営業職はどのような仕事をするのでしょうか。
ここから詳しく解説していきます。
顧客との介護相談
まず、入口となるのが顧客との介護相談です。
電話やメールで問い合わせがあった場合は、ご説明した後に施設に見学にきて頂けるように誘導します。介護相談はご本人やご家族だけでなく、地域のケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーなどに行うこともあります。
顧客との相談は、施設のサービス・料金・設備について説明し、入居してもらえるようにアピールするだけではありません。入居検討されている方の要介護度・ADL・困っていること・希望する条件などもしっかりヒアリングします。場合によっては、要介護度・健康状態・経済状況により自分の担当する施設では対応できない方もいます。お困りの方を適切なサービスへご案内してあげることも大切です。
施設で対応できることとできないことを明確に説明し、入居希望者と施設側がトラブルにならないように調整が必要です。
施設の見学対応
実際に施設に興味を持った方を、施設見学に誘導してご案内をします。見学の際には、営業担当者が車での送迎を行うこともあります。
施設見学では、入居後の施設での生活をイメージしていただけるようにすることが大切です。実際にご本人にお会いしてお身体の状況などを確認し、改めて入居にあたっての相談を受けるケースもあります。
施設長と話をする機会を設けたり、食事を試食してもらったりして施設の魅力を伝えて雰囲気をつかんでもらいます。
集客活動
施設を認知してもらったり、見学にきてもらったりする集客活動も大切な仕事です。
集客活動には以下のようなものがあります。
- WEB広告
- ホームページ
- チラシ
- パンフレット
- DM
- イベント企画
さまざまな媒体で広告を打ち出して集客の工夫をするのも営業職の役割です。大規模な企業では、お客様担当と集客担当を役割分担しているところもあります。その場合は、連携を取りながら戦略を練っていく必要があります。
また、地域住民の方に認知してもらうことも大切です。地域の方に知ってもらえるようなイベントや見学会などを行い、交流を深める役割も担います。
営業活動
施設営業職は新規開拓はもちろん、地域との関係性を保つための挨拶回りなども定期的に行います。
主な営業先は以下の関係機関です。
- 病院の地域連携室
- 居宅介護支援事業所
- 地域包括支援センター
最近では、介護施設の紹介会社を通して入居につなげるケースも増えています。
入居契約
入居申し込みが決まったら、施設で入居審査や体験入居を行います。入居の際には、ご利用者に介護保険証・診療情報提供書・健康診断書・戸籍謄本・住民票など必要書類を事前に用意してもらわなければなりません。
入居契約の当日には、契約書・重要事項説明書の内容をしっかり説明し、納得の上契約していただきます。また、利用料や支払い方法について説明するのも営業担当の役割です。
入居当日や翌日のフォロー
入居当日のお客様は慣れない環境に戸惑い、緊張と不安を抱えています。施設に到着されたらできる限りのスタッフでお出迎えをして、荷物の搬入や施設案内などを手伝います。
また、入居された翌日にも一晩過ごしてみてどうだったか確認を入れておくことも大切です。必要があれば、施設のスタッフに状況を伝え、これから安心して生活していただけるようにフォローします。
介護の営業職で必要なスキル
介護の営業職に必要なスキルはどのようなものがあるでしょうか。
モノを売るだけではないため、他の職種の営業では求められないスキルも必要です。
介護保険制度や高齢者の理解
介護施設の営業職が売る商品は介護保険で利用できる施設であるため、介護保険制度についての理解は必須です。また、高齢者の疾患や特性など介護の知識が豊富であれば、営業職としての強みになります。
とくに、介護職として勤務経験がある方や、介護福祉士・介護支援専門員・社会福祉士などの資格を所持している方は有利でしょう。知識が豊富な分、広い視野でご高齢者のサポートができます。
高齢者の話をしっかり聞き悩みに寄り添える
ご高齢者の話をしっかり聞き、悩みに寄り添える方は営業職に向いています。
介護施設の営業職は、お客様が入居検討を始めたときの最初の問い合わせ窓口です。ご高齢者の困りごとに対して親身になって考えてくれる人は、信頼が得られます。
ご高齢者の中には、ご自身の状況をうまく伝えられない方もいます。認知症のある方の対応も必要です。どのような方に対してもしっかり耳を傾け対応できるスキルが介護の営業職には不可欠です。
車の運転ができる
営業職は車を使用することが多いため、運転スキルが高い方がよいでしょう。
とくに、施設見学を希望する方などのお客様を車に乗せるケースがよくあります。高齢者は足が不自由な方も多いので、車での送迎は必須です。車いすの方を送迎する際には、大きな車を運転することがあるかもしれません。
運転が苦手な方は、練習しておいたり施設周辺の道を覚えたりしておく必要があります。
施設の営業職は介護職からの転職が有利
今回の記事では、介護施設の営業職について解説しました。
営業職は、覚えなければならないことがたくさんあり、コミュニケーションスキルも求められる難しい仕事です。施設のことを深く理解してアピールできる営業スキルや、高齢者の悩みに寄り添うスキルも重要です。
介護職の経験者であれば、入居検討者が気になる施設での生活についても詳しく説明ができます。ご利用者やご家族の悩みや心配事も細かいところまで汲み取ることも可能です。
介護職から、別の仕事に転職を考えている方は、これまでの経験を活かした営業職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。