介護の仕事をしていると、一度や二度は他業種への転職を考えた方もいるのではないでしょうか。
介護職は実際に大変な仕事なので、さまざまな理由から転職を考える方は多く、令和4年度の離職率は14.3%でした。前年度が14.1%であったため、プラス0.1%とやや上昇しています。
しかし、介護の仕事は需要の高い仕事です。仕事から離れたいと思っていても、なかなか一歩が踏み出せない方も多いかもしれません。
そこで今回の記事では、介護職から他業種への転職について解説します。
介護職を続けるのが難しいと考えている方は、この記事を参考にしてみてください。
介護士から他業種へ転職したいと考える理由
介護士の方が、他業種へ転職したいと考える理由には以下のようなものがあげられます。
詳しくみていきましょう!
仕事内容の割に給料が安い
介護士が転職を考える理由に多いのが、仕事内容に給料が見合っていないという点です。
介護職は他の職種と比べて給与が低い傾向です。生活費や家族を養うための給料としては不十分だと感じる方が、転職したいと考えるきっかけになります。
国は介護離職対策のために処遇改善を進めていますがなかなか追いついていません。体力を使う身体的負担の大きい激務かつ、命に関わる重要な仕事を任されているにも関わらず、給料が見合っていないと感じている方が多いのが現状です。
休日や連休が取りにくい
慢性的な人手不足に悩まされている介護業界。職場にもよりますが「休日や連休が取りにくい」「サービス残業が多い」といったことが不満になっているケースもあります。
施設介護では、24時間365日誰かが出勤しなくてはいけないため、早番・遅番・夜勤などの不規則な勤務体制のところがほとんどです。土日祝日やお盆、お正月なども誰かが出勤しなくてはなりません。そのため、休み希望が通らなかったり、連休が取りにくかったりするのが現状です。
家族や友達と休みを合わせにくいので、カレンダー通りに働けて、休みが取りやすい他業種に転職したいと考える方もいます。
体力的に続けられない
介護士の仕事は、不規則で生活リズムが乱れやすい勤務形態です。また、慢性的な人手不足が続いている職場では、一人にかかる負荷が大きいといったことも考えられます。立ち仕事や力仕事が原因で腰など身体を痛めてしまう方も多いでしょう。
これらの状況が続けば、身体的・精神的に負担になり長く続けられなくなってしまいます…
人間関係に疲れる
介護の仕事は、チームワークが欠かせない仕事です。一人で黙々とできる仕事ではないため、気が合わないスタッフとの人間関係に疲れてしまう場合があります。忙しい業務にお互いイライラしてしまったり、ケアの方法で意見が衝突してしまったりすると、大きなストレスがかかります。
スタッフ間だけでなく、ご利用者やご家族との関係に悩むこともあるでしょう。最近特に話題となっている「カスタマーハラスメント」は介護の現場でも問題になっています。介護の仕事はその性質上、ご利用者やご家族からの理不尽なお願いも見過ごされ、我慢してしまいがちです。問題がなかなか解決に向かわなければ、介護の仕事自体から離れたくなってしまいます。
将来性が感じられない
これまで説明してきたように、給与面や体力面などを考えると介護の仕事を長く続けられるのか不安になってしまいます。仕事環境や処遇が改善される見込みがなければ、転職を考えるきっかけになるでしょう。
介護職全体として社会的に十分に評価されていないと感じる方も多いようです。将来のキャリアアップの道が想像できなければ、他業種への転職を検討したくなるのも当然です。
他にやりたいことが見つかった
仕事をしているうちに他にやりたいことが見つかり、転職を考える場合もあります。介護の仕事をしながら、同じ業界のケアマネジャーやケースワーカーなどに興味を持つ方や、看護師や理学療法士などの医療系の仕事に興味を抱く方もいます。
介護職として培った経験やスキルを活かせる転職先には、
介護事務や福祉用具専門相談員、老人ホームの営業などがあります。
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また、これまでとは全く違う分野への転職を決断する方も少なくありません。
若い世代の方であれば特に、いくらでもチャレンジできるので、介護職以外の分野でキャリアアップを目指す方もたくさんいます。
他業種への転職を成功させるためのポイント
介護職から他業種へ転職したい場合には、いくつか注意点があります。介護職は人手不足の業界のため、常に求人が引く手あまたの状況です。しかし、他職種は狭き門の可能性もあるので闇雲に仕事を辞めて挑戦するのはおすすめしません。成功させるためのポイントを確認し、戦略を練って挑みましょう!
転職理由を明確にしておく
まずは、転職する理由を明確にして気持ちを整理します。「なんとなくつまらない」「しんどいから」というぼんやりした理由で転職活動をしていると、理想の未来が描けません。
転職するにあたって目標を具体的に設定しておくと、希望の職種・業種、労働条件などが定まり転職先を探す際にもスムーズです。転職の目的や目標をしっかりと伝えられるように考えを整理してくことが重要です。気持ちにブレが生じている状況では面接の場面でうまく答えられなかったり、妥協して転職先を選んでしまったりするため、理想の転職とはならなくなってしまいます。
転職先が決まってから退職する
冒頭でもお伝えしましたが、介護職から他業種へ転職したい場合には転職先がなかなか見つからない可能性があります。我慢の余地があるのなら、すぐに辞めてしまうことはせずに介護職を続けながら転職活動するのがおすすめです。
退職してから転職活動を開始してスムーズに決まらなかった場合に、焦って転職先を選んでしまうと早期退職につながりかねません。じっくり自分の希望条件にあう転職先を吟味できるように、収入は確保しながら余裕を持って転職活動をしましょう。
とはいえ、どうしても続けるのが難しい場合は無理しないでくださいね…
介護職で培った経験やスキルをアピールする
介護職から他業種へ転職する場合、職種によっては経験やスキルをアピールしにくいと考える方もいるかもしれません。しかし、その業界の経験はなくても介護職で培ってきた経験が無駄になることはありません。
介護職で培われるスキルには以下のようなものがあります。
- コミュニケーション力
- 接遇
- 協調性
- 体力
- 精神力
- 忍耐力
- 適応力
- 倫理観
- 責任感
- 観察力
- 問題解決能力
- リーダーシップ
これらのスキルを具体的な経験談を交えて具体的に話すと強みになります!
転職先の職種で活かせる能力を積極的にアピールしましょう!
求人サイトでリサーチする
転職を考えたら、まずはさまざまな求人情報に触れてみるのがおすすめです。インターネットの求人サイトで気軽にたくさんの情報が手に入れられるので、一通りリサーチしてみることでイメージがつかめます。
もしかしたら、現時点ではスキルが足りない場合や、思っている以上に処遇がよくない場合もあるかもしれません。調べてみると、自分が描いていた理想の働き方ができないと感じるかもしれないので、転職を後悔しないためにもしっかり下調べしてギャップを埋めておくことが大切です。
転職エージェントの活用
これまで説明してきたような転職活動を働きながら行うのは大変なことです。自分の中でキャリアプランが描けていない方は、たくさんの求人の中から転職先をリサーチするのはさらに困難を極めることが考えられます。
転職活動をスムーズにおこなうためには、転職エージェントで専任のアドバイザーに相談するのがおすすめです。
転職エージェントに相談すれば、自分のキャリアを活かした転職先を紹介してもらえます。履歴書添削や面接対策までサポートしてくれるエージェントもあるので、他業種への転職に不安を感じている方は活用するとよいでしょう。転職先との日程調整や交渉なども代わりに行ってくれるので、在職中の転職活動も安心です。
介護職での経験が他業種でも役立つ
今回の記事では、「介護職から新たな挑戦!他業種への転職を成功させるためのポイント」と題して解説しました。
介護職として働いていたら、他業種で活かせるスキルがないかもしれないと心配な方も多いでしょう。もちろん、介護職としての経験やスキルを最大限に活かして転職する場合には福祉関連の別の仕事がベストです。しかし、福祉業界以外の仕事に興味を持った方でも、転職のチャンスはあるので安心してください。介護職として培った経験は決して無駄ではありません。ぜひ、転職エージェントなどを活用してご自身の可能性を探ってみてください!