「ご利用者からマッサージを頼まれたけど、介護士がやっても大丈夫なの?」と悩んだことはないでしょうか。
私も介護の現場にいたとき、ご利用者から「肩を揉んでほしい」「足がだるいからマッサージしてほしい」とお願いされることがありました
気持ちに応えたいけれど、資格がないのにどこまでやっていいのか分からず、迷った経験があります。
この記事では、以下のことがわかります。
この記事でわかること
- 介護士がマッサージを禁止されている法的な理由
- 介護現場でできるマッサージとできないマッサージの境界線
- 高齢者がマッサージを受けられる専門サービスの種類
- 介護士がマッサージの資格を取得するメリットとおすすめの資格
それでは、詳しく見ていきましょう。
目次
介護士がマッサージを禁止されている理由

介護士がマッサージを行うことは、法律上の制限があり原則として禁止されています。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- あはき法で定められた国家資格が必要
- 介護保険サービスにマッサージは含まれない
- 無資格でマッサージを行うリスク
それでは、順番に見ていきましょう。
あはき法で定められた国家資格が必要
「マッサージ」は、正式には「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(通称:あはき法)」によって規定されている医療行為のひとつです。
この法律では、マッサージを業として行えるのは国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の有資格者のみと定められています。
- マッサージとは、患部を「押す」「揉む」「さする」「叩く」などの手技を用いた施術のこと
- あん摩マッサージ指圧師の国家試験に合格した者だけが、業としてマッサージを行える
- 介護福祉士や介護職員初任者研修の資格では、マッサージを行う権限は含まれていない
- 無資格者が治療目的でマッサージを行った場合、法律に抵触する可能性がある
つまり、介護士が持っている資格はあくまで「介護サービス」を提供するための資格であり、マッサージの施術を行うための資格ではないのです。
介護保険サービスにマッサージは含まれない
介護士が提供するサービスは、介護保険制度に基づいた「身体介護」と「生活援助」の2種類が基本です。
介護保険上のサービスの中に、マッサージは含まれていません。
- 介護保険で提供できるのは、日常生活に必要な最低限の援助に限られている
- ケアマネジャーが作成するケアプランに位置づけられていないサービスは提供できない
- マッサージは介護士の業務範囲外であり、プラスアルファのサービスとして勝手に提供することはできない
- 介護保険料や公費を財源とする公的サービスであるため、提供範囲が厳格に定められている
介護士はお手伝いさんや家政婦さんとは違い、公的な制度のもとで働いています。
ご利用者の希望にすべて応えたい気持ちは大切ですが、制度上できることとできないことの線引きを理解しておくことが重要です。
無資格でマッサージを行うリスク
「軽くマッサージするくらいなら大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、無資格でマッサージを行うことにはリスクがともないます。
とくに高齢者の場合、思わぬ事故やトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。
- 高齢者は骨密度が低く、強い力でのマッサージが骨折を引き起こす場合がある
- 皮膚が薄くデリケートなため、こすったり揉んだりすることで内出血や皮膚損傷が起きやすい
- 持病(高血圧・心疾患・血栓症など)がある方に不適切な施術をすると、体調が急変する可能性がある
- 事故が起きた場合、無資格で施術を行った介護士本人や施設の責任が問われることもある
ご利用者を喜ばせたいという気持ちは素晴らしいことですが、正しい知識がないまま施術をすることは、かえってご利用者を傷つけてしまうリスクがあることを忘れないでください。
介護士ができるマッサージとできないマッサージの境界線

「マッサージが禁止」と言っても、ご利用者の体に触れるすべての行為がNGなわけではありません。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- OKな行為|リラクゼーション・スキンシップの範囲
- NGな行為|治療目的の指圧・揉みほぐし
- 施設で「マッサージ」という表現を使う際の注意点
それでは、順番に見ていきましょう。
OKな行為|リラクゼーション・スキンシップの範囲
介護士がご利用者の体に触れる行為のうち、リラクゼーションやコミュニケーションを目的としたやさしいタッチケアであれば、特別な資格がなくても実施できます。
- レクリエーションの一環として行う、やさしくさするハンドケアやハンドマッサージ
- スキンシップとして手や足をやさしくなでる・さする行為
- 入浴後やおむつ交換時の保湿剤の塗布にともなう軽いタッチ
- 体位変換時のやさしい声かけとともに行うさすり
これらはあくまで「利用者さんに安心感を与えるためのコミュニケーション」の範囲であり、治療や症状の改善を目的としたものではありません。
目的と手法の両面で、マッサージとの境界線を意識することが大切です。
NGな行為|治療目的の指圧・揉みほぐし
一方で、以下のような行為は無資格の介護士が行ってはいけません。
治療や症状の改善を目的とした施術は、たとえご利用者に頼まれたとしてもお断りする必要があります。
- 「腰が痛いから」「肩こりがひどいから」と言われて、痛みの緩和を目的に揉みほぐすこと
- ツボや経絡を意識した指圧を行うこと
- 関節拘縮や筋麻痺の改善を目的として、強い力で筋肉をほぐすこと
- 「マッサージをしてあげます」と治療効果を示唆するような声かけをすること
ご利用者から「マッサージしてほしい」と頼まれたときは、やさしくさする程度にとどめるか、訪問マッサージや機能訓練指導員への相談をすすめるのが適切な対応です。
施設で「マッサージ」という表現を使う際の注意点
介護現場では、何気なく「マッサージ」という言葉を使ってしまう場面があるかもしれません。
しかし、この表現の使い方にも注意が必要です。
- 施設のパンフレットやホームページで「マッサージ」をサービスとしてうたうと、あん摩マッサージ指圧師が常駐していると誤解される可能性がある
- レクリエーションで実施する場合は「ハンドケア」「リラクゼーション」など、別の表現を使うのが安全
- ご家族への説明でも「マッサージ」と言うと、専門的な施術を行っていると誤解を招く場合がある
- 記録に残す際も「タッチケアを実施」「やさしくさすった」など、正確な表現を心がける
言葉ひとつで印象が変わるため、介護士としてはご利用者やご家族に誤解を与えないよう意識しておきましょう。
高齢者がマッサージを受けられる専門サービス

ご利用者にマッサージのニーズがある場合は、専門職によるサービスを利用する方法があります。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- 訪問マッサージ(医療保険)
- 訪問リハビリ(介護保険)
- 機能訓練指導員によるリハビリ(施設内)
それでは、順番に見ていきましょう。
訪問マッサージ(医療保険)
訪問マッサージは、国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」が自宅を訪問して施術を行うサービスです。医療保険が適用されるため、ご利用者の費用負担を抑えながら専門的なマッサージを受けることができます。
- 「押す」「揉む」「さする」「叩く」などの専門的な手技で、身体の不調に対して施術を行う
- 医療保険で受けるには、かかりつけ医が発行する「同意書」が必要
- 筋麻痺や関節拘縮などの症状がある場合に、医師がマッサージの必要性を認めて同意書を発行する
- 自宅まで来てもらえるため、通院が難しい方でも継続的に施術を受けられる
ご利用者から「マッサージを受けたい」と相談されたときは、まずはケアマネジャーに訪問マッサージの利用について相談するよう案内するとよいでしょう。
訪問リハビリ(介護保険)
介護保険サービスの訪問リハビリでも、リハビリの一環としてマッサージの手法が用いられることがあります。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅を訪問して実施するサービスです。
- 歩行訓練・起き上がり・立ち上がりなどの機能訓練がメインだが、施術の中でマッサージの手法が使われることがある
- 日常生活の自立を助けるための、心身の機能の維持・回復が目的
- 利用にはかかりつけ医の指示書が必要で、ケアマネジャーがケアプランに位置づけて実施する
- 「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合は、医療保険が適用になることもある
訪問リハビリは介護保険が基本ですが、疾病によっては医療保険が適用される場合もあるため、ケアマネジャーに確認することをおすすめします。
機能訓練指導員によるリハビリ(施設内)
デイサービスや特別養護老人ホームなどの施設では、機能訓練指導員がリハビリの一環としてマッサージ的なアプローチを行うことがあります。
介護士として働いている場合は、ご利用者のニーズを機能訓練指導員に伝えて連携することが大切です。
- 機能訓練指導員は、理学療法士・作業療法士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・看護師などの有資格者が担う
- ご利用者ごとの機能訓練計画に基づいて、適切な施術を実施する
- 介護士は、ご利用者の日頃の体調変化や「ここが痛い」といった訴えを機能訓練指導員に報告する役割がある
- 専門職と介護士がチームで連携することで、ご利用者に最適なケアを提供できる
マッサージのニーズがあるご利用者に対しては、介護士が自分で対応しようとするのではなく、専門職と連携して最適な方法を一緒に考えていくことが大切です。
介護士がマッサージの資格を取得するメリット

介護士としてマッサージの資格を取得することで、日々のケアの幅が大きく広がります。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- ご利用者の満足度アップにつながる
- キャリアアップ・職場での評価が高まる
- 他の介護職員との差別化ができる
それでは、順番に見ていきましょう。
ご利用者の満足度アップにつながる
マッサージの資格を取得して正しい知識と技術を身につけることで、ご利用者に安全で効果的なリラクゼーションを提供できるようになります。
- 高齢者の身体に合わせた力加減や施術方法がわかるので、安心して施術ができる
- 「気持ちよかった」「またお願いしたい」という言葉をもらえると、仕事のやりがいが大きくなる
- レクリエーションにマッサージの要素を取り入れることで、ご利用者の楽しみが増える
- スキンシップを通じてご利用者との信頼関係が深まり、日常のケアもスムーズになる
私も現場にいたとき、ご利用者が笑顔になる瞬間が一番のやりがいでした。
資格を取ることで「自信を持ってケアできる」という安心感が生まれるのは、大きな変化だと感じます。
キャリアアップ・職場での評価が高まる
マッサージの資格は、介護士としてのキャリアアップにもプラスに働きます。資格を取得する姿勢そのものが、職場からの信頼につながります。
- 「スキルアップに積極的」「利用者さんのために学ぶ意欲がある」と評価されやすくなる
- レクリエーションの企画・運営を任されるなど、職場での役割が広がる
- 転職の際にも、履歴書に書ける資格として差別化につながる
- 施設全体のサービス品質向上に貢献できる人材として重宝される
介護の基本スキルに加えて、もうひとつの強みがあると自分自身の市場価値も高まっていきます。
他の介護職員との差別化ができる
介護業界では、基本的なケアスキルに加えて「プラスアルファのスキル」を持つ人材が求められる時代になっています。
マッサージの資格は、周りの介護職員との差別化にぴったりです。
- 同じ介護職員でも「マッサージの資格を持っている」というだけで、ご利用者やご家族からの信頼度が変わる
- 施設にとっても「施術ができるスタッフがいる」ことはサービスのアピールポイントになる
- 将来的にサロン開業や出張施術など、介護以外の働き方の選択肢も広がる
- 介護の経験とマッサージスキルを組み合わせることで、独自の強みを持ったサービスを提供できる
「いつか介護の経験を活かして、別の形でも働いてみたい」と考えている方にとって、資格取得は具体的な一歩になるのではないでしょうか。
介護のスキルをもっと広げたい方は、ぜひチェックしてみてください。
\スキルを身につけキャリアアップ/
介護士におすすめのマッサージ資格「介護リハビリセラピスト」

マッサージの資格に興味があるけれど「国家資格は難しそう」と感じている方には、介護リハビリセラピストがおすすめです。
このセクションでは、以下のポイントをお伝えします。
- 介護リハビリセラピストとは
- 通信講座・1日講座で無理なく取得できる
- 介護現場で実際にどう活かせるのか
それでは、順番に見ていきましょう。
介護リハビリセラピストとは
介護リハビリセラピストは、アロマオイルを使ったマッサージで高齢者の身体機能の維持・改善をサポートするための民間資格です。
日本介護リハビリセラピスト協会が認定しており、介護現場で活かせる実践的なスキルを学べます。
- アロマオイルを使いながら、血液やリンパ液の流れを促す施術方法を習得できる
- 肩こりや関節痛、手足のむくみなど高齢者に多い悩みに対応するスキルが身につく
- 国家資格のように数年の学校通学は不要で、介護職として働きながら無理なく取得を目指せる
- スキンシップを通じたコミュニケーションの質が向上し、ご利用者との信頼関係が深まる
「国家資格を取るのはハードルが高いけど、何かスキルを身につけたい」という方にとって、ちょうどいいステップアップの選択肢になる資格です。
通信講座・1日講座で無理なく取得できる
介護リハビリセラピストの大きな魅力は、忙しい介護職の方でも無理なく取得できる仕組みが整っていることです。
- 通信講座ならオリジナルテキストとDVD(オンライン視聴にも対応)で自宅学習できる
- すきま時間を使って学べるので、シフト制で忙しい方でも続けやすい
- 1日講座なら、たった1日で資格取得が可能。認定試験も免除される
- 受講者の約90%が通信講座を選んでおり、自宅学習が主流
「資格は取りたいけど、仕事をしながら学校に通うのは無理」という方でも、通信講座であれば自分のペースで進められます。
まずは講座の内容を見てみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
介護現場で実際にどう活かせるのか
介護リハビリセラピストの資格を取得したあと、介護現場ではさまざまな場面で活かすことができます。
- レクリエーションの時間にアロマを使ったハンドマッサージを取り入れ、ご利用者にリラックスしてもらう
- ご利用者との日常的なふれあいの中で、やさしい施術を通じたコミュニケーションができる
- アロマの香りでリラックス効果を高め、不安やストレスの軽減をサポートする
- 施設のサービスの幅が広がり、ご利用者やご家族の満足度が向上する
資格を活かしてケアの質を高めたい方は、介護リハビリセラピストについて詳しくまとめた以下の記事もぜひ参考にしてください。
\詳細を確認してみる/
マッサージの知識を武器に、介護士としてのスキルを広げよう

ここまで読んでくださったあなたは、きっと「ご利用者にもっと喜んでもらいたい」「介護士としてスキルを高めたい」という気持ちを持っている方だと思います。
この記事のまとめ
- 介護士はあはき法の規定により、治療目的のマッサージを行うことは禁止されている
- ただし、リラクゼーションやスキンシップの範囲であれば、やさしいタッチケアは実施できる
- マッサージの資格を取得することで、ご利用者の満足度アップやキャリアアップにつながる
- 介護リハビリセラピストなら、通信講座や1日講座で無理なく資格取得を目指せる
「何かスキルを身につけたいけど、何をすればいいかわからない」という方こそ、まずは講座の内容を見てみることから始めてみてください。
行動するかどうかは、情報を見てからでも遅くありません。
介護のスキルをもっと広げたい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

