「ご利用者からマッサージを頼まれたけどやっていいの?」
と疑問をお持ちではないでしょうか?
介護士としてはご利用者の体をさする程度であれば、スキンシップの範囲として行うことがあります。しかし、マッサージの資格を持っているわけではないので、どの程度までできるのか気になっている方もいるかもしれません。
そこで今回の記事では、介護士がマッサージを行っていいのかというテーマで解説します。
ご利用者にリラックスしてもらい、サービスの満足度をあげたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
介護士は介護保険でマッサージができない
介護士は介護保険サービスに則ってご利用者を支援しますが、介護士が行えるサービスの中にマッサージは含まれていません。
介護士が提供するサービスは大きく分類すると「身体介護」と「生活援助」の2種類です。介護士はお手伝いさんや家政婦さんと言われる方達の仕事内容とは異なり、国民が支払った介護保険料や国の財源を利用する公的なサービスなので、できることが限られています。提供できるサービスは日常生活に必要な最低限な援助に限られ、ケアマネジャーが作成するケアプランに位置付けられていない、プラスアルファのサービスは提供できません。
そもそも介護士が所持している、介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士の資格は、「マッサージ」が行える資格ではありません。専門的な知識をもとに介護サービスが提供できる資格です。マッサージは介護士の行うサービスの対象外になります。
医療目的のマッサージには資格が必要
高齢者が、一般的に「マッサージ」と呼ばれるサービスが受けられるのは「訪問マッサージ」と「訪問リハビリ」です。これらのサービスの違いをみていきましょう。
訪問マッサージ
マッサージは、国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の有資格者が行う施術です。患部を「押す」「揉む」「さする」「叩く」といったあん摩と指圧とマッサージの手法を用いて、身体の不調に対して手当を行います。
訪問マッサージでは、これらの施術を自宅などで受けることができますが、医療保険で受けるためにはかかりつけ医による同意書が必要です。筋麻痺・関節拘縮等の症状に対して、かかりつけ医がマッサージの必要性を認め、同意書を発行することにより施術が受けられます。
訪問リハビリ
介護保険サービスの訪問リハビリでも、リハビリの一環としてマッサージを受けることが可能です。
訪問リハビリは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅に訪問して行います。具体的な内容は、歩行訓練や起き上がり、立ち上がりなどの機能訓練や、食事・排泄・着替えなどの生活動作訓練、言語機能、嚥下機能の訓練、福祉用具や住環境のアドバイスなどです。日常生活の自立を助けるための、心身の機能の維持・回復を目的にリハビリが実施されます。
リハビリテーションは機能訓練が主ですが、理学療法士が施術の中のひとつとしてマッサージの手法を用いることがあります。
介護保険でも、リハビリテーションを実施するにはかかりつけ医の指示書が必要です。指示書に基づきケアマネジャーがケアプランを作成し、リハビリテーションを行います。リハビリテーションの一環で行われるマッサージも、医師の指示に基づいた治療でのみ実施できます。
また、基本的に訪問リハビリは介護保険が適用ですが、「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する傷病によりリハビリが必要な場合には、医療保険が適用になる場合があります。
介護士が行えるマッサージ
介護士が行えるのは、レクリエーションなどで実施するもみほぐしやリラクゼーションの範囲のマッサージです。リラクゼーションの一環であれば、特に資格は必要ありません。
ただし、筋肉量が少なく皮膚が弱い高齢者に対して施術するには、トラブル防止のためにも最低限の知識とスキルを習得しておくと安心です。せっかくマッサージを受けてもらうなら効果的な施術方法を身につけておくと喜んでもらえるでしょう。
介護士が取得できるマッサージに「介護リハビリセラピスト」の資格があります。
介護リハビリセラピストは、通信講座もしくは1日講座で取得可能です。
無理なく取得できるので、取得を検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくは以下の記事も参考にしてくださいね!
資格を取得してワンランク上のサービスを提供しよう
今回の記事では「介護士はマッサージをやってはいけない?資格取得でワンランク上のサービスを」と題して解説しました。
介護士は、介護保険上でマッサージを行うことはできません。マッサージを行うには資格が必要です。
ただし、レクリエーションで行うようなリラクゼーションが目的のやさしいマッサージであれば実施できます。
プラスアルファのサービスを提供したいと感じている方は、資格を取得してサービスに取り入れてみるのも一つです。