「介護職で働くんだったら大手の方が安心かな?」「地元の事業所の方がアットホームでいいかも…」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか?
介護の事業所の母体の大きさはさまざまです。
地域に根ざした社会福祉法人や医療法人、中小企業もあればほんとに数人で始めたばかりの小さな事業所まで。
しかし、今後キャリアを重ねて飛躍したいなら大手企業で働くことをおすすめします。
私が16年間大手で勤務した後で、地元企業に転職して後悔しているからです。
今回の記事では「介護職で働くなら大手企業!16年働いた私がメリット・デメリットを解説」と題して解説します。
これから介護職を始める方、転職しようと悩んでいる方などはぜひ参考にしてください。
介護業界における大手企業とは
介護介護職における大手企業とはどこの企業でしょうか?
パッと思い浮かべるだけでもいくつか名前が出てくる方もいますよね。
業界動向サーチによる、2021年〜2022年度の介護業界の売上高ランキングは以下の通りです。
- ニチイ学館
- SOMPOホールディングス
- ベネッセHD
- 株式会社ツクイ
- セコム
- 学研HD
- 株式会社SOYOKAZE(前 株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティ
- ソラスト
- セントケア・HD
- ケア21
介護職をしている方や、検討している方であればなんとなく知っている企業名が多いはずです。
「SOMPO」「ベネッセ」「セコム」など介護以外の事業が有名な企業も多いので、介護業界以外の方でも知っている名前も並びます。
介護職が大手企業で働くメリット
介護職が大手企業で働くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
実際に私が大手企業で働いていて良かったなと思うメリットは以下のとおりです。
- 給与・賞与が安定している
- 福利厚生や各種補助が充実している
- 研修制度が整っている
- 働きやすい労働環境
- 人事評価制度が整っている
- 経営が安定している
- 働きやすい職場へ異動のチャンスがある
- 幅広いキャリアプランが描ける
実は、働いている間は当たり前になっていて、そんなに実感していませんでした。
辞めてから、しみじみとありがたかったんだなぁと思ったものです…
ここから、私が大手企業で働いていて良かったなと思うメリットを詳しく解説していきます!
ただし、すべての企業に共通するものではないので注意してくださいね!
給与・賞与が安定している
まず、一つ目のメリットは、給与や賞与が安定している点です。
勤続年数が上がるほどに徐々に給料は増えていきました。
何よりありがたいと思っていたのは、残業代をしっかり支払ってくれていた点です。コンプライアンス上、残業代をしっかり付けないとダメだと注意されていたくらいです。
地元企業に転職してからは、残業は暗黙の了解ですべてサービス残業でした…
福利厚生や各種補助が充実している
大手企業は福利厚生がとても充実しています。これも辞めてからとても実感しました。
法律で定められている福利厚生以外にも、大手ならではの福利厚生の充実ぶり。
資格取得のためのサポートが充実していたので、試験にかかる費用や書籍代も補助してもらえました。
提携しているスポーツジムの会費が安くなったり、旅行の宿泊費が補助されたのもうれしかったですね。
何よりありがたかったと思うのが、人間ドックに行ったときの費用が補助されることです。一般的な健康診断はどこの施設や事業所でも行うのが当然ですが、プラスして医療機関や検診センターで行うメニューも補助してもらえました。
市販薬を購入したときに補助が出るのもありがたかったです。
地元の企業に転職してからは簡単な健康診断だけなので、がん検診などの詳しい検査に費用がかかります。そのため、わざわざ検査を受けるのがおっくうになってしまいました。
福利厚生ってそんなに重視していなかったのですが、結構大切です!
研修制度が整っている
大手の企業は研修制度が整っています。入社していきなり現場ということはあまりありません。定期的に職員が入社するので、どこかに集合して入社時研修が行われます。
また、入社してからも経験年数やポジションに応じて研修が充実しているの点ポイントです。常に勉強しながらスキルアップしていけます。
集合研修すがあるような企業であれば、他の事業所のスタッフなどと横のつながりもできるので情報交換などができて楽しいですよ。
働きやすい労働環境が整っている
労働環境も整っていたなぁと感じます。
記録のシステムやタブレット、インカムなど導入など、常に最新の機器を導入して働きやすい職場環境が検討されています。施設の設備にもお金をかけてもらえていました。
一人で悩まずに相談できる相手が見つけやすいのもメリットです。不安になったときや分からないときに確認できる人がたくさんいます。
介護保険制度の改正や、その時々の社会情勢によっても介護施設や事業所に求められるルールなどは刻々と変化していきます。小さな事業所だと、コンプライアンス面に関して何かと不安でした。
その点、大手の企業では本社などの中枢部でしっかり対策、検討されているので安心です。
大手企業はちゃんと守られている感じがありましたね!
人事評価制度がはっきりしている
古い体質であれば年功序列が色濃く残っている企業もあるのではないでしょうか。大手企業は人事評価制度がはっきりしているので、能力次第では早い出世も可能です。不公平感を感じることもありません。
人事評価制度がはっきりしているということは、自分の実力が問われるわけですから厳しい面もあります。評価に納得しないことだってあるでしょう。しかし、指標が明確でなければ文句の付けようがありません。
人事や給料、ボーナスにも反映される人事評価なので、長く勤めていくためにも明確な指標があるほうが安心です。
経営が安定している
大手企業は経営が安定していて、社会的な信用度も高いのがメリットだと言えます。
介護以外のビジネスから参入している企業も多く、介護以外の他の事業が順調な経営をしていれば安心です。
企業の規模が大きければ、給与や賞与が急激に下がってしまったり倒産してしまうリスクも少ないと考えられます。
働きやすい職場へ異動のチャンスがある
大手企業は施設数が多いので、今働いている職場が合わないと感じた場合に他の施設に異動させてもらえることがあります。
全国に施設展開している企業であれば、転居することになっても、転居先の近くに通勤しやすい施設があれば異動させてもらえることもあるでしょう。
その職場にマッチできなかったスタッフの方が、他の施設に異動して活躍したりイキイキと働いたりしている事例もたくさん見てきました。
どうしても合わないスタッフがいる、苦手なご利用者がいるなどで働くのが苦痛でも退職する必要がありません。会社側としてもスタッフを辞めさせたくないので、合う職場を探してもらえます。
新規オープン施設で働きたい場合は、立ち上げを経験できることも。オープニングスタッフとして一から施設を作り上げる経験もできます。
ずっと同じところで長く働きたい方もいると思いますが、飽きっぽい私にとっては定期的に新しい職場で働けるのはありがたいことでした。
16年間同じ企業で勤務したとはいえ、ずっと同じ施設だったらきっと続けるのは無理でした。新鮮な気持ちで新しい仕事に取り組めたからこそマンネリ化することなく続けられたのだと思います。
幅広いキャリアプランが描ける
大手企業で特にメリットだと感じるのが、幅広いキャリアプランが描けることです。小規模な企業であれば、長年同じ人が施設長や所長の役職に君臨しているイメージですよね。
大手企業は次々と新規施設や事業所が立ち上がるので、役職につくチャンスが広がります。
介護リーダーや施設長、事業部長などに出世する夢を描くのはもちろん、介護以外の仕事にもチャレンジできます。
例えば、現場が嫌になったら以下のようなお仕事も。
- お客様相談担当(営業)
- 研修の講師
- 採用
- 経理
- 社内SE
- マーケティング
会社の規模が大きくなるほど仕事の幅が広がるかもしれません。介護の仕事からキャリアチェンジしたいと思ったときに、同じ会社の中で活躍できる場所が見つけられる場合があります。
全く違う職種へチャレンジしても、ベースに介護の経験があればその知識を活かして活躍することが可能です。
介護職が大手企業で働くデメリット
メリットばかりたくさんあげましたが、勘違いしてはいけません!デメリットだってあります!
大手企業での就職を考えている方は、デメリットもしっかり理解しておいてくださいね。
希望しない人事異動がある
メリットで「働きやすい職場へ異動のチャンスがある」と言いましたが、これはデメリットにもなります。とても居心地が良い職場の場合、移動したくない場合もあるでしょう。ずっと同じところで働きたいと思っていても、人事異動を言い渡されることがあるのです。
あなたが優秀であればあるほど、うまくいっていない事業所への異動をお願いされるかもしれません。新しいチャンスと捉えられればメリットになるかもしれませんが、ずっと腰を据えて働きたい方にはデメリットになるでしょう。
移動とまでは言われなくても、大変なので一定期間ヘルプに行ってほしい…なんてこともよくありましたね。
施設が次々と展開して疲弊する
急激に新規事業所を増やしている会社は、採用が間に合っていない施設もあります。ただでさえ人手不足の中、施設が次々と展開していくといろんな施設からスタッフが引き抜かれたり、慣れないメンバーばかりで立ち行かなくなったり、施設運営がなかなか安定しません。
株式会社であれば次々と会社を大きくしていくものなのだと思いますが、現場でご利用者に直面しているスタッフは納得ができず、疲弊しがちです。
経営者と現場の距離感が感じられる
大手企業は何しろ組織が大きいため、現場と上層部との距離感が感じられ、意見が届きにくいと感じられるかもしれません。
意見が届くとしてもせいぜい施設長・管理者に届くくらいで、そこからの意思決定までにさらに時間を要することがあります。
また、母体が介護系でない事業から参入してきた企業の場合、介護ばたけで働いたことがない人がポッと上司になることがよくあります。施設長は現場のことを全然わかっていない!なんて揉めることもしばしば。
上層部と現場の温度感が違って感じられることもありました。
出世争いや派閥に疲れる
中小企業でもよくあることですが、とにかく人が多いので人間関係が複雑です。出世やキャリアチェンジのチャンスが多い分、出世争いに疲れることも。
人と比べるのはよくないことですが、あの人はここの事業所に異動したとか、この人が施設長に昇進したとか…人事のうわさは尽きません。
マイペースに仕事をしたい方や、ご利用者の介護に集中したい方には向いていないかもしれません。
自分の可能性を広げたい方は大手企業がおすすめ!
今回の記事では、介護職が大手企業で働くメリット・デメリットを解説しました。
結論から言うと、私は大手で働けてよかったです。大手で働いたからこそ自分の可能性が広げられ、鍛え上げられました。
しかし、大手企業の風土が合わない方もいると思います。自分のスタイルに合った働き方を見つけて慎重にキャリアを考えてくださいね。