ケアマネジャーの将来性が心配になっていませんか?
ケアマネジャーの役割は、ご利用者に必要な介護サービスをコーディネートし、生活全般をサポートすることです。
専門的な知識と経験をもとに、高齢者やその家族に対して総合的な支援を行います。
介護職の上位資格にあたるため、目指している方も多いでしょう。
でも、今後の将来性を不安視する声もあるよね…
この記事では、ケアマネの将来性や需要について考えてみました!ケアマネ資格の取得を検討している方はぜひ参考にしてください。
ケアマネジャーは将来性と需要がある
結論からいうと、ケアマネには将来性がありまだまだ需要があると考えられます。
その理由をみていきましょう!
少子高齢化の影響で需要が高まり続けている
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の現在総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は29.0%です。65〜74歳の高齢化率が13.5%、75歳以上の高齢化率が15.5%なので、75歳以上の後期高齢者の方が上回っています。
高齢化率は、令和12年には30.0%を超えると見込まれているのでどんどん上昇し続けています。しかし、人口は減り続けているので、それを支える人は少なくなる一方…。
急激に少子高齢化が進んでいるのでケアマネジャーの存在はますます重要です。
若年層のケアマネジャーが少ない
厚生労働省の「介護支援専門員実態調査結果」によると、ケアマネジャーの中で最も多い年齢層は40代で40.9%、続いて30代が26.7%、50代が26.1%です。30代〜50代で9割以上を占めています。
ケアマネジャーが高年齢化しているので、事業所にとっては若年層のケアマネジャーが求められています。
若いケアマネジャーは需要があるためチャンスです!
年齢が高くなっても需要がある
若年層ケアマネジャーが求められていると説明しましたが、年齢が高いケアマネジャーも十分に需要があります。私が働いていた事業所は50代の方が多く、60代や70代のケアマネジャーもいました。
70代のケアマネさんでもパソコンを使いこなし、バイクでご利用者さんの家まで行きバリバリ働いていました!
実際の介護現場で働くとなると、体力的にキツく感じられる方がいるかもしれません。しかし、ケアマネジャーの仕事は相談業務が主なので力仕事がほとんどなく、夜勤などの変則勤務もないため、年齢を重ねてからも負担なく勤務できます。
ケアマネジャーの仕事は知識と経験が役立つ仕事です。経験豊富なベテランケアマネジャーが重宝されます。
国家資格化の動きもある
ケアマネジャーの資格は、現時点で国家資格ではなく民間資格です。
しかし「日本介護支援専門員協会」が国家資格化に向けて動いているようです。
協会が働きかけているなら、国家資格化も叶うかもしれませんね。
ケアマネジャーは高いレベルの知識とスキルが求められる取得が難しい資格です。
令和4年度の介護支援専門員の合格率は19.0%でした。令和5年度の介護福祉士の合格率が84.3 %ということから、資格取得の難しさがうかがえます。
介護の資格の中でも上位資格なので、国家資格になれば目指す方もさらに増えるのではないでしょうか。
参考:日本介護支援専門員協会 協会の活動について
厚生労働省 第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
厚生労働省 第35回介護福祉士国家試験合格発表
処遇改善が期待できる
介護支援専門員は介護系の他の職種に比べると給料が高く設定されています。
介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所における、令和4年12月の介護福祉士の平均給与額が331,690円に対し、介護支援専門員は376,240円でした。介護支援専門員の平均給与額の方が44,550円高いという結果が出ています。
令和3年12月のケアマネの平均給与額が360,580円だったことから、1年前に比べても15,660円アップしています。
さらに令和6年度には介護報酬の改定が行われる予定です。東京都は国に対して、大都市に応じた介護報酬の反映など5つの緊急提言をするとのことです。その中で「ケアマネジャーの安定的な確保を図るため、処遇を改善すること」という提言がされています。
ケアマネの資格取得が難しくなったり人手不足で負担がかかる中で、その専門性に見合った給与になっていないのが問題視されてるのです。
今後の処遇改善に期待したいところです。
ケアマネジャーの仕事はAIに任せられない
AIが台頭している中、ケアマネジャーのような調整役の仕事はAIに奪われるのではないかと懸念する声があります。しかし、ケアマネジャーの役割は、人間関係や感情的なサポートが重要な仕事です。感情が伴うケアは人間にしかできないため、AIが代替することは難しいと考えられます。
ただし、AIはケアマネジャーの仕事を補完し、効率化する役割を果たす可能性があります。データ解析やスケジュール管理などのタスクをAIが支援することで、職務に専念できるようになるかもしれません。
AIをうまく活用しながら、より効果的なサービスを提供することが求められる未来が予想されます。
ケアマネジャーになる懸念点は?
ケアマネジャー資格には懸念点もあります。
デメリットも確認しておきましょう!
人手不足で激務になる
ケアマネジャーの人員が不足する中、急激な少子高齢化に歯止めがかからず、ケアマネジャーの仕事が激務になっています。
居宅介護支援サービス事業所の場合、ケアマネジャーが担当するご利用者の人数は35人に対して1人が基準です。ただし、35人はあくまでも基準で、それ以上の件数を持つことを禁じられているわけではありません。
厚生労働省の「介護支援専門員実態調査結果」によると、実際に1人のケアマネジャーが担当するご利用者の人数は、41〜50人が1番多く21.1%でした。次に多いのが50人〜60人の19.8%と続き、35人以上受け持っているケアマネジャーが多い実状がうかがえます。
これまでは、担当件数が40件を超えた場合は介護報酬が引き下げられてしまうため、減算を避けるためには実質39件が上限になっていました。しかし、2021年より「ICTの活用」「事務職員の配置」のどちらかを要件として、介護報酬を引き下げる基準を45件以上に緩和する改定がされました。それだけケアマネジャーが不足しているということです。
平均担当人数が徐々に増え続けているため、ケアマネジャー1人にかかる負荷が懸念されます。
参考:厚生労働省 第142回社会保障審議会介護給付費分科会資料
厚生労働省 介護支援専門員実態調査結果
管理者が主任ケアマネジャーに限定される
2018年度の在宅の介護報酬改定で、ケアマネジャーが在籍する居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーに限定されました。
2021年4月以降のルールとされていますが、2026年度末までは猶予期間が設定されています。
主任ケアマネジャーを取得するには以下のいずれかに該当している必要があります。
- ケアマネジャーとして5年以上の経験がある
- 「ケアマネジメントリーダー養成研修修了者」もしくは「⽇本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャー」であって、3年以上の経験がある
- 主任介護⽀援専⾨員に準ずる者として、地域包括⽀援センターに配置されている
- ケアマネジャーとして⼗分な知識と経験を有すると都道府県から認められている
上記の要件を満たし、決められた研修を受講することで主任ケアマネの取得が可能です。研修は自治体により異なりますが、数日かけて70時間の講義を受けなければなりません。
これにより、居宅介護支援事業所の運営基準が厳格化され、ケアマネジャーはもとより、主任ケアマネジャーの確保も急務になっています。
ケアプランが有料化される?
現時点ではご利用者がケアマネにケアプランを作成してもらう際にの費用はかかりません。しかし、介護報酬費の削減の観点からケアプランの有料化が議論され始めました。
実際には、反対している団体もあり、2024年度の改定での導入は先送りになっています。もしかすると、次の2027年度の改定で有料化が現実のものとなるかもしれません。そうなると、介護サービスの利用を控えたり、利用者や家族の要求がエスカレートするなどの懸念も出てきます。
有料になったらご利用者負担分の請求業務も大変ですよね…
資格取得が難しくなった
2018年よりケアマネジャーの受験資格が厳格化されました。これまでは、無資格でも介護業務に10年以上従事した方や、介護職員初任者研修・実務者研修等を受講して、5年以上介護業務に従事した方にも受験資格がありました。
しかし、これらの方が受験資格対象から外されたため、試験を受けるにはまず介護福祉士などの国家資格取得に加え、5年以上の実務経験が必要になっています。
2015年には、国家資格取得者に与えられていた試験免除科目も廃止になっていたため、どんどん厳しくなっている状況です。
ケアマネジャー資格に廃止論がある?
ケアマネジャー資格には廃止論もあるようです。しかし、現時点では資格が廃止になる予定はありません。
廃止論がささやかれるようになった理由にはこれまでにご説明した「ケアプラン有料化論争」「試験の厳格化」「AIの台頭」などが挙げられます。
しかし実際には、国家資格化に向けての動きやケアマネの処遇改善への働きかけもあるため、廃止論は噂に過ぎないのではないでしょうか?
ケアマネジャーがいなくなった時のことを考えると、介護現場は立ち行かなくなってしまうのは想像に難くありません。もし本当にケアマネジャーの資格がなくなったとしても、同等の知識とスキルを要する資格や仕事が必要になると考えられます。
廃止論は気にすることなくケアマネを目指しましょう!
ケアマネジャーはなくてはならない仕事
今回の記事では「ケアマネジャーに将来性はある?今後も需要があるのか考えてみた」と題して解説しました。
ケアマネジャー資格についてはさまざまな憶測が飛び交っているようですが、少子高齢化社会の日本ではなくてはならない仕事です。すぐに不要になることはないでしょう。
いずれにせよ、介護職としてキャリアアップするには継続的な学びと成長が必要です。これからも動向を注視しながら、ご自身に合ったキャリアプランを描いてください。