高齢化社会が進む中、注目を集めている「リハビリ特化型デイサービス」。身体機能の維持や回復を目的としたこのサービスは、多くの利用者にとって希望の場となっています。しかし、その裏側では「リハビリ特化型デイサービスはきつい」と感じる職員の声も少なくありません。本記事では、その理由や働く上での工夫、向いている人の特徴などを解説します。
リハビリ特化型デイサービスとは何か
リハビリ特化型デイサービスとは、どのような場所で、どんな役割を担っているのでしょうか。まずはその基本的な仕組みを知ることから始めましょう。一般的なデイサービスとの違いを理解することで、現場でどのような働き方が求められるのかが見えてきます。
リハビリ特化型デイサービスの目的と利用者の特徴
リハビリ特化型デイサービスは、介護を必要とする高齢者が日中に通い、身体機能の維持や回復を目指すための訓練を行う施設です。ここでは、ただ時間を過ごすのではなく、できることを増やすことに重きを置いた支援が行われています。
利用者には、転倒後に歩行のリハビリが必要な方や、関節の動きを取り戻したい方など、具体的な目的を持って通っている方が多く見られます。「もう一度自分の足で外に出たい」「家族の負担を減らしたい」といった思いを持つ利用者にとって、リハビリ特化型デイサービスはその目標を実現するための大切な場です。
職員は、そうした利用者の思いや目標に寄り添いながら支援を行います。身体機能の回復はもちろん、精神的な支えにもなれるよう、日々細やかな声かけや励ましを欠かさない姿勢が求められます。そのため、単なる訓練の補助者ではなく、信頼関係を築く伴走者のような存在としての役割が求められるのです。
一般的なデイサービスとの違い
通常のデイサービスでは、食事・入浴・レクリエーションなど、生活全般の支援が行われます。一方、リハビリ特化型デイサービスでは、こうした生活支援は最小限にとどめ、機能訓練に時間と人材を集中させています。
リハビリに重点を置いているので、滞在時間が2〜3時間など半日型デイサービスが多いのも特徴です。1日に複数の利用者が入れ替わりで利用することが多いため、スタッフは効率的かつスピーディな対応が求められます。また、リハビリ内容の記録やモニタリングも重要な業務の一部です。サービスの質を保つために、細やかな観察と報告が必要とされるのもこの施設の特性といえるでしょう。
どうして「きつい」と言われるの?その理由をわかりやすく解説
リハビリ特化型デイサービスで働く中で、「きつい」と感じる理由はいくつかあります。それぞれの要因を分かりやすく紹介します。

実際に働いている人たちの中には、「この仕事、けっこうきついな……」と感じている人がいます。
時間に追われやすい職場環境
利用者の回転が早く、1日にたくさんの人を対応するため、時間に追われがちです。次から次へと送迎や訓練があるため、息つく暇がないと感じることがあります。
身体的な負担が大きい
リハビリの補助や体を支える動作、運動指導などで、職員自身もたくさん体を動かします。中腰の姿勢や、重い人の介助などもあるため、腰や膝に負担がかかることもあるでしょう。
精神的なストレスもある
利用者の中には、あまりリハビリに意欲がない人もいます。そういった人とどう接するか、時にはご家族とのやりとりもあるため、気を使う場面も少なくありません。
ある1日の仕事の流れをイメージしてみよう
リハビリ特化型デイサービスの職員が、どんな1日を過ごしているのかを時系列で見ていきましょう。

仕事内容や動き方を具体的に知ることで、仕事のイメージが湧きやすくなります。
朝の業務:送迎と受け入れ
職員の1日は、朝の送迎からスタートします。利用者のご自宅まで車で迎えに行き、安全に施設まで連れてくることが最初の仕事です。送迎時には、利用者の体調や表情の変化にも気を配る必要があります。
中には寝起きで不安定な状態の方や、会話が難しい方もいるため、穏やかな声かけや安全運転が求められます。到着後は、利用者がスムーズにリハビリへ移行できるよう、玄関での誘導や荷物の確認も丁寧に行います。
午前の流れ:体調チェックとリハビリ
施設に到着した利用者には、まず体調チェック(バイタルチェック)を行います。血圧・脈拍・体温を測り、リハビリを行っても問題ないかを確認します。その後、個別リハビリや集団体操が始まります。職員は、利用者の動きをサポートしたり、器具の使い方を説明したりするなど、多方面でのサポートを行います。リハビリを無理をさせず楽しく続けてもらう工夫も必要です。
昼休憩と午後の活動
昼食の提供はない施設が多いため、午前のリハビリ終了後には利用者が一旦帰宅し、午後からの部に入れ替わります。職員はこの時間にお昼休憩を取り、午後に備えて体を休めたり、記録業務を行ったりすることが多いでしょう。午後の業務では、新たな利用者の受け入れ、再度のバイタルチェック、リハビリの補助などが中心になります。1日の記録をまとめ、報告書を作成するなど、デスクワーク的な業務も意外と多くあります。
求められるスキル
職員には、複数の業務を同時進行でこなすスキルが求められます。利用者ごとにリハビリ内容や体調が異なるため、細かな変化に気づける観察力と対応力も大切です。また、時間に追われながらも一人ひとりに丁寧に接するための集中力、リズムよく動くための計画性が必要です。さらに、チーム内での連携力やコミュニケーション能力も欠かせません。
「きつい」を減らすには?現場でできる工夫を知ろう

きつさを少しでも軽減し、長く働くためには、日々の業務の中での工夫やセルフケアが欠かせません!
身体的・精神的負担を減らし、より充実感を持って働くためには、職場全体の環境づくりと個人の心がけの両方が大切です。ここでは、現場で実際に取り入れられている改善策をいくつかご紹介します。
チームワークを高める
チームの中でしっかり話し合うことが大切です。役割分担を明確にしたり、情報を共有したりすることで、無駄な動きが減って働きやすくなります。また、困ったときに相談しやすい雰囲気をつくることも重要です。職員同士が協力し合える体制があれば、精神的な負担も大きく軽減されます。定期的なミーティングやケース検討会などを活用し、意見交換の場を持つことも効果的です。
正しい体の使い方を覚える
介助やリハビリ補助の仕事は、どうしても身体への負担がかかります。そのため、正しい体の使い方を学ぶことは非常に重要です。無理な姿勢を続けない、こまめに休憩を取る、補助器具をうまく使うなど、身体への負担を減らす工夫を意識しましょう。施設によっては腰痛予防の研修やストレッチ指導などを取り入れているところもあります。そうした機会を積極的に活用するのもおすすめです。
自分自身の体調を整える
体調管理も仕事を続けるうえで欠かせないポイントです。睡眠不足や栄養の偏りがあると、疲れやすくなり集中力も落ちてしまいます。毎日の食事でしっかり栄養を取り、規則正しい生活を心がけましょう。また、プライベートな時間を大切にし、ストレスをため込まないことも大切です。趣味の時間や軽い運動、誰かとの会話など、自分なりのリフレッシュ法を持っておくと良いでしょう。
どんな人に向いている?この仕事にぴったりな性格や考え方
リハビリ特化型デイサービスの仕事には、向いている人とそうでない人がいます。ここでは、リハビリ特化型デイサービスの現場で活躍しやすい人の特徴を詳しく紹介します。

長く続けていくためには、自分の性格や得意なことがマッチしているかを見極めることが大切です!
人と関わるのが好きな人
「人と話すのが好き」「困っている人を助けたい」と思える人は、この仕事にとても向いています。リハビリ特化型デイサービスでは、利用者との信頼関係がとても重要です。たとえ短時間の関わりでも、笑顔や声かけによって相手のやる気を引き出す場面が多くあります。人と向き合うことに楽しさややりがいを感じられる人は、利用者だけでなくチーム内でも良い関係を築きやすくなります。
体を動かすことが好きな人
この仕事はデスクワークとは違い、立ちっぱなしで動き回ることが多いのが特徴です。そのため、体を動かすことが苦ではない人や、スポーツや運動が好きな人にとっては、自然と馴染みやすい環境です。また、リハビリの内容も日々変化するため、毎日新しい発見があり、飽きずに取り組めるという点も魅力です。活動的なライフスタイルが好きな人にとっては、充実感を得られる仕事となるでしょう。
冷静に動ける人・マルチタスクが得意な人
現場では、予定通りに物事が進まないこともよくあります。そんなときでも冷静に対処できる人、複数の業務を同時にバランスよくこなせる人は、とても頼りにされます。例えば、リハビリ中に別の利用者から呼ばれたり、急な体調変化に対応したりと、瞬時の判断力が求められる場面も多くあります。そうした状況でも落ち着いて行動できる力は、大きな武器になります。
人の変化を喜べる人
リハビリの成果はすぐに出るものではなく、小さな変化の積み重ねです。「今日は少し立ち上がるのが楽そうだった」「笑顔が増えた」といった変化を一緒に喜べる人には、この仕事の深い喜びを感じてもらえるはずです。利用者の前向きな姿に励まされ、自分自身も成長できるという好循環を感じられる場面がたくさんあります。
リハビリ特化型デイサービスはきついけどやりがいもたっぷり
リハビリ特化型デイサービスは体力的な負担やスピード感のある業務に戸惑うこともありますが、それ以上に大きなやりがいや達成感を感じられる仕事です。利用者の方が少しずつ元気を取り戻していく様子を間近で見られることは、この分野ならではの魅力です。
「人と関わる仕事がしたい」「誰かの役に立ちたい」と思っている方であれば、この仕事はきっとやりがいを感じられるでしょう。最初は専門知識や技術がない方がほとんどです。多くの施設では未経験者向けの研修制度が整っており、先輩職員のフォローがあります。
最初は「きついかも」と感じることもあるかもしれませんが、工夫やサポートを活用すれば、長く続けられる仕事です。まずは見学や体験からチャレンジして、自分に合うかどうか確かめてみるのがおすすめです。

今までの経験を活かしながら、誰かの生活を支えるという新しいキャリアを築いてみましょう!
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