高齢化が進む現代社会において、介護職として70歳以上でも現役で活躍する方が増えています。体力面への懸念はありつつも、豊かな人生経験や温かい人柄を生かし、重要な戦力となっているシニア世代は少なくありません。
この記事では、70歳以上で介護職を続けるための働き方や注意点、そしてシニア世代に適した介護職の選び方について詳しくご紹介します。
70歳以上の介護職が増えている背景
日本の高齢者人口は増加の一途をたどり、それに伴い介護サービスの需要も右肩上がりとなっています。しかしながら、介護業界は依然として慢性的な人手不足に悩まされてるのが現状です。
この現状を受け、70歳以上の方でも積極的に受け入れる事業所が増えています。また、定年後も社会とつながり続けたい、健康維持のために働きたいと考えるシニア層のニーズとも合致し、双方にとって理想的なマッチングが生まれています。
70歳以上で介護職を続けるメリット
ここでは、70歳以上で介護職を続けることによって得られるメリットについて詳しく見ていきます。

年齢を重ねたからこそ発揮できる強みや、働くことがもたらすプラスの効果に注目していきましょう。
豊かな経験が大きな武器に
長い人生で培った知識やコミュニケーション能力は、介護の現場で大いに役立ちます。利用者や家族との信頼関係を築く力に優れている点は、シニア世代ならではの強みです。
また、困難な状況にも柔軟に対応できる冷静さや判断力も、現場で高く評価されています。若い世代では気づかない細やかな気配りが、利用者やその家族から厚い信頼を寄せられる要因となるでしょう。さらに、人生経験に裏打ちされた言葉や態度が、利用者に安心感をもたらすはずです。
生活リズムと健康の維持に役立つ
働くことで日常にリズムが生まれ、体力や認知機能の低下を防ぐ効果が期待できます。特にシニア世代が、毎日の決まったスケジュールで活動することは、身体機能の維持にも役立ちます。
また、人と関わる機会が増えることで、社会的孤立のリスクも低減し、気持ちの面でも前向きな気分を保つことができます。規則正しい生活は、健康寿命を延ばすことにもつながり、生活の質を高める大切な要素となるでしょう。
社会貢献による自己肯定感の向上
介護職は「誰かの役に立っている」という実感を得やすい職業です。年齢を重ねても社会に必要とされることは、大きな生きがいとなります。
特に、感謝の言葉を直接受け取る機会が多いため、自分の存在意義を強く感じられる仕事です。周囲からの信頼を得ることで、自己肯定感や生きる喜びがより一層高まり、心身の健康にも良い影響を与えます。働くことを通じて、自らの価値を再認識できる貴重な経験となるでしょう。
70歳以上で働く際の注意点
ここでは、70歳以上で介護職を続ける際に意識しておきたいポイントを紹介します。体力面や職場選びなど、安心して長く働くために大切な注意点を押さえておきましょう。
自分に合った無理のない働き方を選ぶ
体力に自信がない場合は、短時間勤務や日勤のみのシフトを選ぶのがおすすめです。仕事内容に重い身体介助が含まれない業務を選ぶことも大切です。
例えば、生活援助中心の訪問介護や、デイサービスでのレクリエーション補助など、身体的負担の少ないポジションを検討すると良いでしょう。最近では柔軟なシフトや仕事内容が設定されている求人もたくさんあります。自分自身の体力や体調に応じて、柔軟に勤務時間や働き方を調整する意識が重要です。
定期的な健康チェックを怠らない
定期健診を受けることはもちろん、日々の小さな体調変化にも敏感になっておくことがおくことが大切です。血圧や体温の変動、疲労感など、いつもと違うサインに早めに気づけるように注意しましょう。無理をせず、休養が必要なときにはしっかりと休む姿勢も必要です。休息を取ることが、長く働き続けるためには大切な自己管理の一環になります。
年齢に理解のある職場を選ぶ
シニア層の採用実績が豊富な施設や、業務負担が少ない環境を整えている事業所を選ぶようにしましょう。面接時には、具体的な業務内容やサポート体制について確認し、自分に合った職場かどうかをしっかり見極めることが大切です。
また、同年代のスタッフが在籍している職場は、理解が得られやすく働きやすい傾向があります。働きやすい環境選びが、無理なく長く続けるための第一歩です。
70歳以上におすすめの介護職種
ここでは、70歳以上の方に向いている介護職種についてご紹介します。体力やライフスタイルに合わせた働き方を選ぶための参考にしてみてください。
訪問介護(ホームヘルパー)
訪問介護は、利用者一人ひとりとじっくり向き合える仕事です。掃除や洗濯、調理、買い物代行などの日常生活援助であればこれまでの家事の経験を存分に発揮できます。ご利用者宅への移動の負担はありますが、夜勤がなく、生活援助が中心であれば身体的な負担も比較的軽減できるでしょう。
介護度の高い利用者には専門的な支援が求められることもありますが、多くの場合は、利用者とじっくり信頼関係を築きながら働くことが可能です。自宅で安心して生活を続けたいと願う利用者を支える仕事として、シニア層に人気があります。

私が働いていた事業所もシニアが大活躍でした!
デイサービスの介護スタッフ
デイサービスでは、利用者に対して生活援助やレクリエーション活動を提供するのが主な業務です。デイサービスの勤務も夜勤がないため身体への負担が少ないのが大きな特徴で、日中の限られた時間帯で勤務できます。
仕事内容は、レクリエーションや体操のサポート、入浴介助、食事介助などで、利用者が楽しく過ごせるよう支援する役割を担います。利用者との交流を楽しみながら、明るい雰囲気の中で仕事ができる点も魅力です。
介護施設内のサポート業務
介護施設では、介護職員を支えるサポート業務も重要なポジションです。食事の配膳や見守り、居室の掃除、洗濯補助といった身体的負担の少ない業務が中心となります。直接的な身体介護を行わないため、体力に不安がある方でも取り組みやすい仕事です。最近は、このような柔軟な働き方を取り入れている介護施設は増えており、シニア層の需要があります。
介護施設での働き方は、チームで協力しながら業務を進める環境が整っているため、コミュニケーション能力を活かして働きたい方に向いています。施設の雰囲気や利用者との距離感も温かく、やりがいを感じられるでしょう。
生活相談員
介護職経験や資格がある方は、生活相談員として働く選択肢もあります。生活相談員は、利用者や家族との相談対応、援助計画の立案、他職種との連携を担当する重要な役割を担います。介護現場での経験や、円滑なコミュニケーション力を活かして、利用者が安心してサービスを利用できる環境を整える仕事です。
送迎スタッフ
送迎スタッフは、デイサービスなどに通う利用者を自宅から施設まで安全に送迎する役割を担います。特に車の運転に自信がある方に適しており、運転技術に加えて、乗降時の介助や利用者への細やかな配慮も求められる仕事です。
利用者の安全と快適な移動を支える、重要なポジションとなります。
70歳以上でも介護職を目指すために
ここでは、70歳を超えてから介護職を目指すために必要な準備や心構えについてご紹介します。新たな一歩を踏み出すために、押さえておきたいポイントをチェックしましょう。
資格取得で自信と選択肢を広げる
資格があると選べる職種が大きく広がるため、初任者研修や実務者研修の取得を検討するのがおすすめです。
特に介護現場では、資格を持っていることで採用される可能性が高まり、働きやすい環境を選べるようになります。最近では、シニア層にも配慮したカリキュラムやサポート体制を提供する講座が見られるようになっており、体力的な負担を考慮した学習スタイルを選べるケースも増えています。短期間で取得できるコースもあり、未経験者でも安心してチャレンジすることが可能です。
年齢に関係なく学び直しを行うことは、新しい自信にもつながり、次のステップへの大きな励みとなるでしょう。
面接時には希望条件を率直に伝える
体力や勤務時間に不安がある場合は、面接時に率直に相談することが非常に重要です。無理なく長く働き続けるためには、最初に自分の希望を明確に伝え、施設側としっかり話し合って納得した上で就職することが理想です。
具体的には、勤務日数や勤務時間、業務内容の範囲など、細かな条件についても遠慮せず伝えましょう。正直なコミュニケーションが双方の信頼関係を築き、働きやすい環境を作る第一歩となります。また、面接時に施設の雰囲気や職場環境を自分の目で確認することも忘れずに行いましょう。
働き始めた後も自己管理を徹底する

仕事に慣れてきても、無理をしないことが大切です。
特にシニア世代は、日々の体調管理を徹底し、常に自分の体と相談しながら働く意識を持つことが求められます。
疲労感や体調不良を感じたら、早めに休息を取り、必要に応じて医師の診察を受けることも大切です。食事や睡眠といった生活習慣を整え、適度な運動を取り入れることで、体力を維持しながら仕事を続けられるように心がけましょう。
働き続けるためには、心身のバランスを保つことが何よりも重要です。
70歳以上でも介護職で輝く未来を手に入れよう

介護職は、年齢を重ねても活躍できる職業です。
豊かな経験を生かし、自分に合った働き方を見つけることで、70歳を過ぎても社会の一員として生き生きと働くことができます。
これからも自分らしく、無理なく、輝き続けるために、介護職というフィールドを選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。あなたの笑顔と経験が、きっと誰かの支えとなるはずです!