介護事務の仕事に興味をお持ちではないでしょうか?
興味はあるものの「大変だって聞いたけれどホントかな?」「未経験でもできるのかな?」と気になっている方もいるかもしれません。
私は、5年間介護事務として勤務した経験があります。長い間介護の現場で仕事に携わってきたので、介護事務として勤務するハードルはそんなに高くなかったといえます。
とはいえ、大変だなと思うこともありました…
そこで今回の記事では介護事務の仕事内容や大変だと思うところ、魅力などを解説します。
介護事務の仕事に興味のある方はぜひ参考にしてください!
介護事務と一般事務の違い
一般事務の仕事内容といえば、パソコンでの簡単なデータ入力・ファイリング・電話対応・来客対応・備品の管理・郵便物の仕分けなどでしょうか。
ほかにも、 小口現金管理や、伝票の処理、勤怠管理などを任される職場もあります。
介護事務でも一般事務と同じような仕事を行います。一般事務と大きく異なるのは介護報酬が絡むことです。
介護報酬とは、介護保険サービスを提供した対価として支払われる報酬をいいます。この、介護報酬請求業務を行うことが、介護事務が大変だと言われる理由かもしれません。
居宅サービスと施設サービスの介護事務員の違い
介護事務員の仕事内容はご自宅で生活されている方をサポートする「居宅サービス」と施設に入居されている方をサポートする「施設サービス」でも大きく異なります。
同じ介護保険を使うサービスでも、居宅サービスと施設サービスで介護報酬請求の方法が違うからです。
居宅サービスと施設サービスでは、ご利用者の生活されている場所やスタッフの働き方も異なるため、自ずと介護事務員の仕事にも違いが出てきます。
介護事務員の仕事内容
今回解説するのは主に「居宅サービス」の介護事務員の仕事内容です。
私は、居宅サービスの介護事務事をしていました。
おそらく定額で毎月報酬を請求する施設サービスよりも、居宅サービスの介護事務のほうが、介護報酬請求に関しては理解するのが難しく大変だと思います。
事務員の仕事は請求業務だけではないので、大変かどうかは職場によるかもしれませんが「難しい」のは間違いありません。
ここから詳しくみていきましょう!
国保連への介護報酬請求業務
介護事務員の仕事のメインともいえるのが介護報酬請求業務。
国保連とは「国民健康保険団体連合会」の略で、各都道府県に設置されている介護保険や医療保険等の保険給付に関する業務を行う機関です。介護保険では毎月、サービス提供をした対価を国保連へ請求します。
介護事業所では毎月提供したサービスを集計し、正しいかどうかを確認したうえで翌月の10日までに国保連に提出します。もし、請求内容に不備があり差し戻された場合などは翌月に再請求する手続きを取らなければなりません。
この請求業務を正確に行うことにより、国から介護報酬が支払われ事業所の収益となるため最も重要な仕事です。
ご利用者負担分の請求業務
介護報酬請求で国保連に請求した介護サービス費用のうち9割は国から支給されますが、残りの1割はご利用者が負担します。ご利用者が負担する割合は所得により異なり、所得の多い方では2割負担や3割負担の方もいます。
この、ご利用者負担分の請求業務も介護事務員の重要な役割の一つです。ご利用者へのサービス内容と負担割合に応じて正しい請求を行わなければなりません。
まずご利用者負担額をお知らせするために、請求書を発行してご利用者のご自宅に送付します。また、支払い方法に応じて銀行引き落としや振り込み、現金支払いなどでご利用者が支払いができるように手続きを行います。
このご利用者負担分の請求業務も大切な事業所の収益であり、お金のやりとりに関わる大切な仕事です。
スタッフの勤怠管理や給与計算
事業所によっては、職員の労務管理に関する業務も担います。実際の給料計算や給与明細を発行する業務まで任されることはほとんどありませんが、現場スタッフの勤怠管理について任される場合があります。
例えば、スタッフの勤務表を取りまとめ出勤日数の計算をしたり、有給の日数を管理するなどの業務です。給与に関する業務は事業所や施設の規模にもより任される範囲は異なりますが、現場で働くスタッフが正しい勤務表を提出できるようにサポートする必要があります。
来客対応
介護事務員は、ずっと机に向かっているだけでなく窓口対応も仕事の一つです。
居宅サービスの場合であれば、介護支援専門員や他事業所の職員、医療機関の関係者、その他関連業者などの関係機関が頻繁に訪れます。
施設サービスの場合には関係機関に加え、ご利用者のご家族など面会者や、施設を検討している方が見学に訪れるケースもあります。
このような来客者が訪れた場合には丁寧に対応し、必要があれば応接室に案内したりお茶をお出しするなどの対応が必要です。
窓口対応で、事業所や施設の第一印象が変わるため重要な役割になります!
電話対応
電話対応も基本的には介護事務の仕事です。関係機関から事業所職員に対する電話が多いので、事務員が取り次ぎを行います。
居宅サービスの事業所の場合は職員が外回りで不在のケースも多く、伝言を頼まれる場合や後ほど掛け直してもらわなければならないことが多くあります。要件や相手先の名前、連絡先を正確に聞き取ることが大切です。
介護や医療に関する専門用語を当然のように話されるケースも多いので、分からない言葉があればしっかり聞き直して正確な情報を聞き取らなければなりません。
徐々に慣れてきますが、ある程度は専門用語を理解しておくと安心して対応できます。
事業所の事務サポート
事業所のスタッフは忙しく動き回っている時間が多く、事務作業をする時間がなかなか取れません。そのため、簡単な事務作業のサポートを任されるケースがあります。
サポート内容は事業所により異なりますが、ファイリングや入力業務、書類の作成、関係機関への文書の送付などがあげられます。
難しいパソコンの技術は必要ありませんが、ある程度はエクセルやワードなどに慣れていると安心です。
雑務
これも事業所により異なりますが、介護事務員はさまざまな雑務も任されることが多いでしょう。
例えば、事務用品や消耗品、ユニフォームなどの備品発注や郵便物やFAXの仕分けなどが該当します。
ほかには、事務所の清掃やゴミ捨て、設備管理などを任されることもあります。清掃業者や用務員さんが対応してくれる事業所もありますが、小規模な事業所の場合はそういった人員もいないので、細々した雑務が事務員さんに回ってくる場合が多いです。
事業所のスタッフがスムーズに業務が行えるように、常に細かなところに気が配れると喜ばれます。
介護事務の大変なところ
介護事務員さんの仕事を理解したところで、ここからは介護事務の大変だと感じるところを解説します。
国保連請求時期が忙しい
介護報酬の国保連請求は翌月の10日が締切です。そのため、月末から月初にかけて忙しくなります。
10日に正しい請求を提出するためには、前月に行った介護サービスを正確に集計しなければなりません。10日の国保連請求と同時期にご利用者への請求書の送付も行います。
加えて月末月初といえば、給与計算などほかの締め作業も重なるため多忙を極めます。
毎月10日という締切は1年中変わりません。年末年始やゴールデンウィークなどとも重なるので休みが取りにくい可能性も。家庭の事情などで柔軟に休みを取得したい方は大変に感じるかもしれません。
「介護保険制度」や「介護報酬請求」の理解が難しい
「介護保険制度」や「介護報酬請求」について理解しなければならないことが多いため、とくに未経験の方は慣れるまでが大変です。
そのため、最初はまったくわからないことばかりで苦労するかもしれません。
介護の仕事をしていた方であれば多少理解しやすい面もあります。しかし、現場ではなかなか制度や請求については詳しく触れることがないため、事務仕事をするとなると分からないこともたくさんあります。
私も実際に介護士やケアマネジャーとして勤務経験がありますがそれでも、事務の仕事になって改めて理解することも多かったです。
それに、介護保険制度や介護報酬請求についての理解は、実際に働いているケアマネジャーや介護サービス事業所の職員でもなかなか理解が追いついていないことがたくさんあります。現場レベルでも、その都度調べたり聞いたりしながら対応しているものです。
事務員がいきなりすべて理解できなくて当たり前。毎月同じサイクルで仕事をするので徐々に慣れていきます。
私が働いていた職場も、未経験から働かれている方がほとんどでしたよ!
売り上げに関わる大切な仕事を任される
介護報酬請求は事業所の売上に関わる大切な仕事です。請求ミスをしてしまうと国保連の審査が通らないので入金が滞ってしまうことになります。また、ご利用者負担分の請求をミスしてしまえば、直接ご利用者に迷惑がかかってしまいます。
お金に関わる仕事なのでプレッシャーですよね
ただし、介護報酬請求業務は各事業所が責任を持って行うことなので、ミスがあっても事務員だけの責任ではありません。
私が働いていた事業所は、各事業所が介護報酬請求のレセプトやご利用者の請求書を責任を持って作成していました。事務員が確認はしますが、間違っていたらすべて事務員の責任ということはありませんでした。
でも、確認すると結構ミスはありましたね…
プレッシャーに感じる度合いは、事務員に任される業務の範囲によるかもしれません。
ご利用者の対応が難しい
介護事務員が対応するお客様は高齢の方です。認知症のある方や耳の遠い方、お話がしにくい方もおられるため、電話や窓口での対応に戸惑ってしまうことがあります。
居宅サービスの場合、電話での問い合わせが多いので認知症の方が何度も電話をかけてこられたり、話の内容がうまく聞き取れずに困ってしまうケースがありました。
施設サービスの場合は、入居間もない認知症の方が、家に帰りたいと何度も事務所に尋ねてこられることがあります。玄関から出て行ってしまって迷子になってしまう方もいるので、玄関の対応が難しいケースもよくあります。
高齢者対応に慣れていなければ最初は大変に感じる方がいるかもしれません。
現場の仕事を頼まれることがある
介護事務は、現場の仕事を頼まれることがあるようです。現場がバタバタしているので、ご利用者の見守りや話し相手、配膳などをお願いされる可能性があります。
介護事業所など、その場にご利用者がいない環境であればそのようなことはありませんが、施設やデイサービスなど近くにご利用者がいる環境の場合は、ヘルプを頼まれることがあります。事務員がどうしても受付窓口になっているので、必然的に話しかけられたり質問されたりする機会も多く、月末月初などで忙しい期間に集中できなければ大変です。
事務員として採用されたのに、現場対応に比重がかかってしまうと不満に感じる方もいるでしょう。とくに介護の経験がない方は不安に思ってしまうかもしれません。
介護事務の魅力
介護事務は大変ですが、魅力も多いですよ!
ここからは、介護事務の魅力をお伝えします。
やりがいが感じられる
介護事務は高齢化社会の中で世の中の役に立つ仕事でもあります。責任が大きく大変な分やりがいが感じられる仕事です。
介護事務が事務的サポートを行うことで縁の下の力持ちとして施設や事業所を支え、忙しい現場スタッフの役に立つことができます。
また、継続して勤務することで介護保険制度への理解が深まります。未経験からでも勤務できるので、働きながら専門的知識を身につけたい向上心のある方にはおすすめの仕事です。
業務内容が多岐にわたるので飽きない
介護事務の業務は、一般的な事務サポートだけでなく業務範囲が多岐にわたるので仕事に飽きることがありません。
一般的な事務仕事のほかにも、介護報酬請求業務、ご利用者の対応やそのほかの雑務など多くの仕事を行います。現場スタッフのサポートを行うので、その時に頼まれた仕事を柔軟にこなしていく必要もあります。単調な仕事が苦手な方は介護事務が向いているでしょう。
ご利用者やご家族とコミュニケーションが取れる
介護事務スタッフは、事業所や施設の顔として窓口対応をするためご利用者やご家族と関わることが多いポジションです。お客様の声がダイレクトに届くため、モチベーションにも繋がります。
黙々と事務仕事をするだけでなく、お客様とコミュニケーションを取りながら仕事をしたい方にはやりがいが感じられます。
体力仕事がないため長く働ける
体力仕事がないため、体力に自信がない方でも負担なく続けられるのが介護事務の仕事の魅力です。年齢を重ねても心配なく続けられます。むしろ、経験を重ねたベテランが重宝されるので、長く仕事を続けたい方には最適な職場です。
高齢化社会により、介護関連の仕事はますます需要が高まっていくことは間違いありません。
介護事務として経験を積んでスキルを磨けば活躍し続けることが可能です!!
介護事務は大変だけれど魅力的!
今回の記事では、介護事務の仕事について解説しました。
介護事務の仕事は大変です。しかし、その分やりがいがあります。
「介護保険制度」や「介護報酬請求」について理解するのが難しい分、経験とスキルを積めば重宝されます。
私は介護の仕事をしていたので、その経験を活かして介護事務になりました。
現場に立つのはしんどいけれど、経験を活かしながら介護に関わる仕事を続けたい方にもおすすめの仕事です。